かみがき法律事務所のお知らせ

2018.07.31更新

 

労働者による仕事中の行為によって、第三者や使用者に損害が生じる場合があります。

たとえば、運送業者が、会社の自動車を運転して人身事故起こした場合に、事故の被害者のみならず、自動車の所有者である使用者に損害が生じます。このような場合に、労働者から、使用者から損害分を支払えとか、給料から差し引くと言われているが納得できないと相談を受けることがよくあります。

この問題については、会社から会社の損害を直接賠償請求される場合と、会社が労働者の代わりに被害者に対して賠償した後、労働者にその賠償した分を求償請求するという2つの請求が考えられます(民法715条3項)。

 

 この点について、本来、損害賠償責任を負うのは加害者本人である被用者であることから、使用者は被用者に全額請求できると考えがちです。

  しかし、使用者は、労働者の労務によって利益を得ておきながら、労働者による業務上のミスにより、損害が発生した場合に、その全額を労働者が負担しなければならないというのはおかしいですよね。

 そこで、最高裁は、報償責任の原則や損害の公平な分担といった見地から、使用者による被用者に対する損害賠償請求及び求償権の行使のいずれについても信義則上相当と認められる限度において制限されると判示しています(最高裁昭和51年7月8日判決)。

 さらに、同判例では、制限される範囲については、「使用者が、その事業の執行につきなされた被用者の加害行為により、直接損害を被り又は使用者としての損害賠償責任を負担したことに基づき損害を被った場合には、使用者は、その事業の性格、規模、施設の状況、被用者の業務の内容、労働条件、勤務態度、加害行為の予防若しくは損失の分散についての使用者の使用者の配慮の程度その他諸般の事情に照らし、損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度において、被用者に対し右損害の賠償又は求償の請求をすることができるものと解すべきである」と判事し、使用者からの労働者に対する求償請求を4分の1に制限しました。

 

参考として、もう一つ裁判例をご紹介します。

 4トントラックを運転して配送業に従事していた際に起こした交通事故により、会社が直接損害を被ったとして、元従業員である被告に対して、損害賠償を請求した事案で、損害賠償額を55万5335円と認定した上で、その5%のみの限度でしか請求できないと判断された事案があります(京都地裁平成12年11月21日判決)。

 このように、使用者としては、仮に労働者による業務上の行為によって、第三者や使用者に損害が発生したとしても、必ずしも全額請求されるわけではなく、相当程度減額された限度でしか請求ができないし、

労働者としても使用者から損害賠償を請求されたとしても損害全額を支払う必要はない。

 

投稿者: かみがき法律事務所

2018.07.27更新

弁護士ドットコムニュースにて、代表弁護士北江がエアハラに関する質問に対する記事がアップされました。

https://www.bengo4.com/c_5/n_8243/

今年は猛暑が続いておりますので、特に関心の高い内容になっているのではないでしょうか。

記事を読まれた方からエアハラを無くすよう頑張ってほしいというメッセージをいただきました。

エアコンの位置や、席の場所、個々の労働者の体質等で一部の労働者が調子を悪くされるケースがあります。

これらの事情に応じて、会社としましては、個人差を補うよう適切な措置をとる必要があり、本件記事をその際の参考にしていただき、快適な職場環境を形成していただくことを期待します。

投稿者: かみがき法律事務所

2018.06.23更新

配転命令の有効性に関する裁判例をご紹介します。

 

大阪高裁平成27年11月19日判決(テーエス運輸ほか(配転)事件です。

 

前提知識として、配転が有効とされるには、

①配転命令権が労働協約や就業規則の定めなどによって根拠づけられている必要があります。

②業務上の必要性がないとき、不当な動機・目的によるものであるとき、労働者に通常甘受すべき程度を著しく越える不利益を負わせるような権利の濫用にあたらないことが必要です(東亜ペイント事件判決)。

 

今回ご紹介する判例では、以下のとおり、配転命令は有効と判断されました。

 

1 事案の概要

 運輸会社(以下Y社」)に雇用されている運転手であり、労働組合の役員であった労働者(以下「Xら」)が、配転命令を受けた。Xらは、かかる配転命令は違法であり、従前の営業所での就労に従事しようとしたところこれを拒否され就労できなかった期間を欠勤扱いとされ、賃金等の一部が支払われなかったと主張して、従前の営業所で勤務を継続していた場合との賃金差額等を請求した原審の控訴審。

 

2 争点

①本件配転命令が不当労働行為(労組法7条)に該当するか。

②配転を拒否して不就労となったことは、労働者に帰責すべき休業といえるか

 

3 判旨

Ⅰ ①について、Xらは、当該配転命令は、不当な目的をもってなされているため不当労働行為に当たり無効であると主張する。

 確かに、本件配転命令により勤務地が変更になることで、Xらが中心的人物となっている労働組合の活動に少なからぬ影響が出ることは避けられない。しかし、両営業所間は鉄道で2時間ほどの距離であり、昨今の通信方法の発達を考慮すると、不当労働行為性を帯びるほどの著しい不利益を課すものとはいえない。

 したがって、本件配転命令は不当労働行為に該当せず、有効である。

Ⅱ 本件配転命令について、Xらが配転命令先の営業所に勤務すべき労働契約上の義務がないことを認める仮処分決定がなされているところ、当該仮処分決定がY社に告知された後であっても、Xらが元の営業所において労務の提供をすることは債務の本旨に従った履行の提供とはいえない。そのため、Y社がこれを欠勤扱いとしたことは違法とはいえない。その後の本案訴訟(控訴審)で本件配転命令が有効と認められれば、当該仮処分は遡って無効であるからである。

 

投稿者: かみがき法律事務所

2018.03.07更新

弁護士ドットコムニュースにて、カフェや自宅での勤務の際の労災認定に関する記事が掲載されました。

https://www.bengo4.com/c_5/n_7499/

通勤災害や業務災害に関して、カフェや在宅勤務の場合でも認められるケースがありますが、カフェや自宅では、仕事をしているとは限らないので、仕事をしていたことを証明することが重要ですね。

 

 

投稿者: かみがき法律事務所

2018.02.12更新

先日、初診日が確認できないとの理由で、障害給付の裁定請求を却下する旨の処分の取消を求める裁判にて、無事に訴外で国に障害厚生年金3級を認定してもらい、裁判が終了しました。

事後重症による請求の事案でした。

裁定請求自体は、平成25年8月に行っていましたので、約4年半認定まで時間を要しました。

約17年前の初診日の認定を求めた事案で、既に同病院は廃業しており、初診に関するカルテ等の医証は存在しませんでした。

また通院したとされる病院も内科で、睡眠薬の処方を受けたにすぎないことから、仮に通院していたとして初診といえるのかが問題となりました(障害の程度も問題になりました)。

裁判では、原告の当時の日記や原告の供述から、初診日の裏付けられると主張したところ、裁判所から障害厚生年金3級を認める和解案の提案があり、無事解決しました。

初診に関する資料が乏しくても、あきらめず障害年金を求めていくことが大事ですね。

 

 

 

 

投稿者: かみがき法律事務所

2017.12.29更新

当事務所の年末年始のお休みは12月30日(土)~1月4日(木)までです。

投稿者: かみがき法律事務所

2017.11.15更新

弁護士ドットコムニュースにて、遅刻した場合に、同僚らにスタバのコーヒーをおごらないといけないというルールを作った場合の法律的問題について、代表弁護士北江を回答した記事がアップされました。

https://www.bengo4.com/c_5/n_ 6874/

このルールは、賠償予定の禁止に違反すると共に、違法な懲戒処分を課すことにつながりかねないと回答しております。

取材を受けた方のお知り合いの会社で、実際にあったようです。その方は既に退職されたようですが。

 

 

 

投稿者: かみがき法律事務所

2017.10.07更新

 当事務所では、解雇に関する相談をよく受けます。

 先日も解雇を告げられた方が復職したいとの相談を受け、地位保全、賃金仮払いの仮処分の申立を行いました。

 今日は能力不足を理由とする解雇が認められる場合はどのような場合なのか簡単にお話します。

 能力・適格性の欠如は、解雇の合理的理由となり得ます。

 しかし、それが正当とされるのは、当該労働者に求められている職務能力を考慮の上、労働契約の継続を期待しがたいほど重大な程度に達している場合に限られます。

すなわち、①再三の指導・教育や研修機会の付与によっても容易に是正し難い程度に達し、職務遂行上の支障またはその蓋然性を発生させていることを要します。

使用者側の評価(人事考課)は、一資料にとどまります。

また、この点が肯定されても、②配転・降格等によって当該労働者の能力を活用する余地があれば、それら措置によって雇用を継続する努力が求められます。

  職種転換が求められる範囲については、労働契約内容や企業規模によっても異なり、職種を特定して雇用したために他の職種で活用する余地がない場合は、異職種への配転を考慮する必要はないし、小企業規模で職種転換の余地がない場合も同様です。また、さらに、勤務状況があまりに不良で是正の可能性が客観的に認められない場合も、特段の回避努力は求められないと思われます。

 指導・教育や配転・降格等によってもなお能力・適性が向上せず、改善の余地がない場合は、労働契約の継続を期待することは困難となるため、解雇は正当な解雇といえます。

投稿者: かみがき法律事務所

2017.08.16更新

 当事務所においても飲食店勤務の従業員から、残業代を請求したいというご相談をよく受けます。

 残業代を請求するタイミングで多いのは、退職時に行う場合が多いです。

 自主退職のみならず、解雇された場合に不当解雇を争うと共に、残業代を請求するケースがあります。

 今回、飲食店で調理師して勤務していた方が懲戒解雇され、不当解雇を主張すると共に、未払い残業代及び慰謝料の支払いを求めた裁判例をご紹介します。

 何点か争点が存在しますが、その中でも着目すべき点は、労働者が長時間労働により具体的な疾病を発症していないにもかかわらず、使用者に対し、安全配慮義務違反を理由に慰謝料として30万円の支払を認めている点です。

 この点では、1つ参考になる判例です。時間外労働を適法に行うための法令の定めを遵守せず、毎月概ね80時間を越える長時間労働を放置し、労働者を危険な状態においた場合には、慰謝料が認められることを示す1つのケースです。

 当事務所では、長時間労働が常態化している事案に対しては、未払賃金のみならず、慰謝料を請求しています。

 以下に事案の概要及び判決の要旨をお伝えします。

 

(無洲事件 東京地裁 平成28.5.30判決)

 

1 事案の概要  飲食店経営等を行う被告会社(以下、「Y社」という。)において調理師として勤務しており、Y社から懲戒解雇された原告(以下、「X」という。)が、時間的に近接した先行シフトと後行シ  フトを連続した「1日」の労働であるとして時間外勤務により発生した未払割増賃金、Xに対し月間80時間を超える時間外労働に従事させた点にY社の安全配慮義務違反による損害賠償及び違法な懲戒解雇にかかる不法行為に基づく損害賠償(慰謝料)を求めた裁判例。

  

2 判決の概要

・深夜0時をはさんで先行シフトと後行シフトが隣接していれば、連続勤務として判断され、連続勤務だとすると時間外勤務となり割増賃金が発生するため争点となったところ、1勤務が2つの暦日にまたがる場合であっても、①各シフトの間に4時間の中断があること、②当該中断時間が、労働から解放された時間であったと認められること、③仮眠設備の存在が、事業場に宿泊する義務の存在を意味するわけではないこと、④当該中断時間が深夜であり、自宅への公共交通機関がないというだけでは拘束時間であったとは認められないことを理由に、異なる暦日の勤務であったと判断した。

 

・使用者は、労働契約上の付随義務として業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等により労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意すべき安全配慮義務がある。

Y社においては、約1年余りの間、三六協定も締結せず、Xを毎月概ね80時間以上の時間外労働に従事させ、タイムカードの打刻打刻時刻から窺われるXの労働状況について上記義務を履行するための措置を講じたことを認めるに足りる主張立証はなかったため、Y社につき安全配慮義務違反の事実が認定され、XのY社に対する安全配慮義務違反を理由とする慰謝料相当分30万円の損害賠償請求が認められた。

 

・使用者が労働者を懲戒するためには、あらかじめ就業規則において懲戒の種別及び事由を定めておくのみならず、当該就業規則の内容を、その適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続きを採る必要があり、周知がされていない本件就業規則の定めに基づく本件懲戒解雇は、手続き規制に違反するため無効である。

 

・手続き規制違反による懲戒解雇の無効が、当然には不法行為を構成するとの結論を導かない。懲戒解雇の理由となったX自身の非違行為の存在が認められるため、不法行為が成立するほどの違法性はないと判断し、不法行為に基づく損害賠償請求は認められなかった。

3 実務上の留意点 

  労働者としては、違法に長時間の労働を放置している使用者に対しては、時間外労働部分の未払賃金のみならず、慰謝料の請求も検討すべきである。

  使用者としては、時間外労働を三六協定等適法に行うことはもちろんのこと、時間外勤務を常態化させず、改善策を講じる必要がある。

 

投稿者: かみがき法律事務所

2016.12.12更新

年末年始のお休みは12月29日(木)~1月4日(水)までです

投稿者: かみがき法律事務所

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